「そういえば昔、HTMLProject2というソフトをよく使っていたな。今はどうなっているだろう?」
ふとそんなことを考えて検索すると、公式サイトで確認しても、2012年でアップデートは止まっていました。Windows10は動作の対象外の様子です。
あのソフトを使っていた頃に比べて今のソフトは発展し、HTMLProject2がなくとも私は便利にコーディングをすることができるようになっていますが、昔はかなりHTMLProject2に頼っていたと思います。
というわけで、といえばいいのでしょうか。なんとなく、その思い出を書いてみます。
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個人サイト黎明期を抜けたころにサイトを作成しだした自分
よく「古の個人サイト」等の代表的な特徴として、marqueeで文字を動かす、派手な色の壁紙といったネタが挙げられますが、そろそろそういった黎明期も過ぎて、かつTableを用いたレイアウトもだんだん非推奨になっていく、そんな時期に私はサイトを作成していました。 大体10~15年前ぐらいだったかしら。
このサイト 「鈍色スイッチ」は最近久々に作った個人サイトなので、その時期とは間が開いていますが、それなりに長く続けていた、と思います。
さてサイト作成を開始した時代の私は、まだ二次創作も知りませんでした。要するに所謂オリジナルの創作小説をこりこりと書いていたわけです。
それでも、創作小説のためのサイトはそれなりに頑張りたかった。とはいえ、今のようにCMSが普及した時ならまだしも、私のようにブログをカスタムするのではなく普通に個人サイトを作っている身からすれば、いろいろと面倒くさいものでした。
なまじっかHTML/CSSについてもサイトを作る段階で勉強していたのが災いしたか、Wordを使ってHTML出力するためのものを書くというのはどうにも色々引っかかりを無駄に覚えます。あと昔は余計なタグが入っているとサイトの読み込みが、という問題もありました。
ただ、前述の通り、小説を書き始めた時分の私です。まだ若く、毎月有料のサーバを借りるという選択肢を敬遠しているような状態で、つまり金がないので、その上サイト作成ソフトを購入するのは…という感じで、無料で便利にHTMLを書いて、サイトを作成できるソフトを探し始めました。
未だTerapadが現役とされており、またさらにVSCodeなど生まれてすらおらず、というかそもそもAtomやBracketsを作るための土台であるElectronはおろか、まだWebKitというかWindows版Safariが生きていた、そんな選択肢の少ない時代に、HTMLProject2に私は出会ったのです。
当時のHTML編集ソフト事情
今もそれなりにそうですが、当時はVectorや窓の杜でソフトを探すのが一般的だったと記憶しています。現在はGitHubで探すという手もありますし、ソフトウェア系のサイトやメディアもいろいろあるので、別の手段もとれるのですが、昔はGitHubも(おそらく開発者の間以外では)そこまで有名ではなく…というか創設されてまもないか創設されてないかぐらいです(2008年創設なので)。…そうかそこまで時間が経ったか、と調べていて思いました。悲しい。
それで、前述の通りテキストエディタは一応あれど、現在のように「オールインワンで機能追加もできるしサイト作成に焦点を当てれば拡張機能を入れてサイトプレビューもそれなりにできる」とかは割と無理な時代(本当に今はよい時代になりました。VSCodeとかAtomとかBracketsとかまじありがたい)、ではどうしていたかというと、「HTML作成ソフト」という感じのソフトウェアのジャンルがありまして、そこを探していたのです(今もありました。ここらへん。リンク先の人気順を見ればわかるように、結構な数のソフトの更新がだいぶ前です)。
で、当時のHTML編集ソフトにはだいたい2種類ありました。
WYSIWIG型とタグ編集補助型(挿入も含む)です。それぞれの(当時の)特徴を上げてみますと、以下のような感じ。
- WYSIWIG: ディスプレイで見たままのHTML文書を作成できる。タグを見ながら作成するよりも複雑なコードになることが多い。
- タグのあれこれを解決しておいてくれる系の良いソフトは大体有料だった。WordPressを使用したことある人ならビジュアルエディター、あるいはTinyMCE系といえばいいかもしれない。
- タグ編集補助型: HTML文書を直接編集する。タグを自動で閉じてくれたり、入力候補を上げてそれを選択すれば補完してくれたりする。プレビュー機能付きのものもあり。
- 無料でも結構いいものがあった。結局多分現在のVSCodeとかBracketsをみているとこの流れがプログラミング補助系の流れと合わさってフリーソフトの主流になっているような気がする。
この二つのうち、私が選んだのはタグ編集補助型でした。
古の時代の通信量の関係で、タグは入力補助を使うにしても手打ちがベターだと思っていましたし、あと自分が書いたタグがHTML文書として解釈されて表示される変化が好きだったのだと思います。なるほど後々コンパイル型言語Goを使い始めるわけだ。
ちなみにHTML/CSSに関しては、今の自分としても、タグ編集補助型のほうがなじみがあります。VSCodeとかもそうではないかしら。WYSIWIGは現在でも実装はそれなりに難しいのか、WordPressのTinyMCEなどを見る限り、フリーでは簡易的な(それなりにカスタマイズもできる)エディタにとどまっているみたいです。
で、いくつか使っていてたどり着いたのが、HTMLProject2でした。HTMLProjectというナンバリングがないものもありますが、公開日から考えて2のほうを使っていた模様です。
自分的嬉しいポイントは以下でした。
- プレビュー機能がある
- CSSについても様々な入力候補を備えた便利な編集機能がある(当時のCSSプロパティほぼすべてが網羅されており、とてつもなく編集しやすかった覚えがあります)
- タグ編集補助機能が協力
今となってはVSCodeにそれ系の拡張機能を詰めば、こういう環境もソフト内にワンセットで実現できます。ついでにHTML/CSS以外の他の言語もソースコードエディタでは編集できますので、サイトを自分でコーディングするとしても現在となってはこれを選ぶ意味があまりなくなるのですが、当時はこれだけでもかなり便利だったのです。
後今ではあまり見かけない「選択範囲のテキストを虹色に表示できるようにタグを自動挿入する」とかの機能もありました。懐かしい。
欠点はといえば、プレビュー機能がIEの内部エンジン・Tridentを使って実装されていたことでしょうか。
同じころにブラウザ沼にもはまった上にTridentさんの表示が変になるのにもぶつかり始めたころだったので、結局使い始めた最後のほうは、プレビューは実際にOpera(Prestoたん時代)やFirefox上で行うことも結構あったと思います(「IE?知らんな」精神が生まれ始めたのも多分このころ)。
それ以外は豊富な入力補完で、しかもコーディングしている下にホップアップで変換候補のごとく出てくる方式でしたので、かなり重宝させてもらっていました。ちなみにこの形式、プログラミングではなじみのものだったのかもしれませんが、私は後々Javaの開発環境を整えながら「あ、HTMLProject2にもあったあの方式だ」なんて思ったりすることになります。
時間があるときは1から、時間がないかあるいはよいサイトテンプレート(今はCMSでテーマを選ぶ時代ですが、昔はHTMLテンプレートとかといえばこれの印象でした)を見つけた時にはテンプレート配布サイト(MITライセンスやGPLなどはまだそこまでメジャーではない時代で、それぞれのサイトに利用規約があったのも懐かしいです)から持ってきて、HTMLProject2で開き、サイトを構築していくのがとても楽しかったように覚えているのです。
現在のHTMLProject2
当時割と人気だったHTMLProject2は現在、もはやメジャーソフトではありません。更新は2012年で止まり、動作ができるらしいOSもVista/7ぐらいのままです。
不具合要望掲示板も2016年あたりを最後に回答が途絶えています。それからもユーザからの掲示板投稿は2件あるようなので、未だ利用者の方々はいるのでしょうが、作者のKanetoさんの消息は分かりません。SNSもメジャーではなかった時代、今現在のような、Twitter等のアカウントへのサイトからのリンクもありません。メールアドレスは掲載されているので、メールを送れば反応はあるのかもしれませんが、VSCodeにすっかり移り、WordPressで環境を整えて、もうソフトを使わなくなった私です。そこまでは私は踏み切れませんでした。
Twitterで一度検索してみましたが、最近のものでは日本語のツイートが数件ヒットする程度でした。時代とはやはり、そういうものなのでしょう。VSCodeならずとも、Atom、Bracketsもだいぶ便利ですし、すべては移り変わったように思います。Eclipseを基礎にしたAptana studioなども出てきましたが、そこからも移り変わって…といったところ。
そもそもすこしHTML/CSSを書いて…というぐらいならCodepenですとか、ブラウザ上のツールでもだいぶどうにかできるようになりました。ここからのソフトウェアの流れはあまり予想できませんが、とりあえずHTMLProject2については、流れは止まっているか、細々としてしまったのだなあ、と、まあそういうところで、この記事を締めます。
さいごに
古のサイト管理者の思い出話でした。もしここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、お付き合いいただきましたこと、深く御礼申し上げます。
それでは。