
本当かそうでないかはさておき、最近万年筆が流行っている、らしいです。
そうでなくとも、万年筆を使ってみたいけれども、なかなか第一歩を踏み出せないという方がいたらその案内にと、自分が万年筆を人に勧めるときのまとめもかねまして、万年筆の始め方というか、購入第一歩の軽い案内を、いくつかのステップに分けて書いていこうと思います。
そしてあなたも万年筆沼においでよあたたかいよ、いやなんでもないです。
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購入にあたっての前知識
まずは購入にあたっての前知識を書いておきます。
とはいっても、最低限抑えておけばいいかな、というのは、以下のことぐらいかしら。
- 万年筆とは筆記具の一種である
- 様々な価格帯のものがある(使い捨て以外ではだいたい千円以上、質にも価格にもほぼ上限はない)
- 使い捨て以外は長く使うことが前提
- 書き味は種類ごとに違う
- 特に高価なものだと、同じ方のものが他にあったとしても微妙に感触が違うこともあるらしい
- このため、試筆をさせてくれる文具店もあります
- 基本的にひっかけるような形のペンケースを使う
- 万年筆の構造によるもの
- 詳しくは、文具店で店員さんに聞くと、更に詳しい情報を手に入れることができます
- インクをカートリッジ・コンバータで入れ替えて使う
- コンバータと入れ替え用のカートリッジは基本別売り
- コンバータはインクの入れ替えが可能で、染料インクであれば基本的にどのメーカーのものでも入れられる
- インクを吸い込ませる吸い込み式もありますが、今ではあまり見かけません。日本ならば、メジャーなのはカートリッジとコンバータだと思います。
偶に例外もありますので、「だいたいこんなかんじ」程度に思っておいてください。
万年筆を購入する媒体は2通り
現代は便利なもので、いまやネットでも万年筆を購入することができます。また、単純に価格だけでいえば、ネットのほうが安いこともあります。
ネットでなく、文具店で買う方もサービスは勿論充実していまして、インク・万年筆ともに試し書きができたり、店員さんが様々な知識を案内してくれたりもします。なにより実地で色合いなど確かめられるのは良いかと思いますし、検索画面に出るもの以外の商品もざっと見たりすることが可能です。
ですので、万年筆を購入する場合はまず、購入手段あるいはまず訪れるものとして、
- ネット(Amazon等)
- 文具店
の二つの選択肢から選ぶことになるかと思います。既にご贔屓のお店があったり、友人の誘いがある
なおこの記事では『文具店に行って手触りを確かめた上でネット』という場合は、後者に含みます。
ネットショッピングで購入する場合
ネットショッピングを使う上での利点は、以下の2点が大きいと思います。
- PCの前から動かずにショッピングができる
- 商品によっては値段が文具店よりも低い
直接目にしたり、触れたりして選べない代わりに、家から動かずにショッピングできるのはとても便利なもの。
価格についても、ショッピングサイトの個々の割引のほかに、万年筆のなかでも、もともとの値段自体が廉価なものが更に安くなっている、ということも多々あるかと思いますので、比較的安めだと思います。
さて、このネットショッピングで万年筆を買うときについて、色々と。
まずは、廉価万年筆を買うのをお勧めします。
なぜかというと、万年筆は「感触が大事」だからです。視覚のみならず、触覚、さらには使い勝手も関与してくるからです。
それが伝わり難いネットショッピングだと、便利さの代わりに伴うリスクの比重が大きくなってきてしまいます。
廉価な使い捨て前提のペンだと、支障ない値段で買えますし、かなりこだわらない限りはそんなに値段の幅もないのですが、万年筆は基本安くて千円程度しますし、先に書いたとおり金銭的なリスクは高いといえましょう。
ですので、ネットショッピングのお勧めの使い方としては、
- 安いものを試みに調達する
- 欲しかったものを店頭に行かずに買う
というふうになる感じでしょうか。
また、Amazonには通常の店頭ではあまり見かけないタイプの万年筆が売られていたりもしますので、先に書いた点を把握しつつ、それを買う手段にする手もあります。
ネットで買える廉価万年筆については、Amazonへのリンクつきで以前纏めました。興味ある方は下記よりどうぞ。いずれも入門用としてよいものが揃っていると思います。
文具店で購入(※お勧め)
ネットショップのほかでは、文具店で購入することになります。なおこの方法が私(数寄屋)のお勧めです。
文具店で購入する利点
文具店で購入するのが何がいいかといわれれば、主に以下2点があげられます。
- 実物を前にして買い物ができる(試筆ができる場合もあります)
- わからないことがあれば店員さんに聞ける
万年筆は筆記具です。しかも、基本的に買ったらずっと使うものです。しかも、前知識に書いたように、それなりにお値段がします。
ですので、直に見た感じや、感触がとても大事です。
ネットショッピングでも買えますが、メーカーごとに「これは直だとこんな感じ」というのを知るのにも、文具店に行くのはいい手段だと思います。
また、文具店の万年筆コーナーが大きく取ってあり、店員が常駐する状態になっている場合、そこの店員さんは大抵知識が豊富です。
これは私の印象による想像なのですが、多分万年筆コーナーに勤める時点で万年筆がある程度好きで、その希望を出していたり、もしくは専門として足る程度の教育を施されているのかもしれません。とっても頼りになります。
予算であるとか、買いたい価格帯を伝えてお勧めなどを教えてくれるように言えば、サクサク教えてくださるかと。試筆をさせてくれる場合もあります。もちろん、多くの場合は試筆してそのまま購入することもできたりします。
文具店の選び方
さて肝心の文具店の選び方ですが、最初のうちは、なるべく以下の点をおさえている文具店を選ぶと良いかなと思います。
- 文具チェーンの大型店舗(本店ならなおよし)
- 万年筆専用コーナーがあり、そこに店員さんが何名か配置されている
なお重視するべきは2番目です。上に書いたとおり、専門コーナーの店員さんは頼れます。
これらの情報は、今ではネットでサイトを探るなどすれば分かると思いますので、馴染みある文具チェーンのサイト等で調べることをお勧めします。
また、この他に、
- 店舗の大きさがそれなりにありそうな万年筆専門店
- 口コミで友人がすすめる万年筆の店
このどちらかが近くにあるのならば、行ってみるのも手です。
1つ目の理由は、万年筆専門店は運営期間が長ければ、それなりにその信用はありそうだからです。また、専門店ですので、当たり外れはあるかもしれませんが、初心者への紹介などもある程度は用意なさっているかと思います。
2つ目の理由は、ご友人が詳しい人であるなら、そのご友人が自分の経験+教える先の人物のことを考えて教えてくれる可能性が高いからです。また、同じ趣味を持つことを、コミュニケーションの一環として利用するのもありでしょう。
なお私の場合、「昔から見かけていたそれなりに大きな店で、かつ万年筆コーナーがある店」に行って趣味をはじめました。両親にも尋ねてその店に関する情報を仕入れ、選んで訪れたのです。
後から見ればその文具チェーン店の中でも大き目のお店で、詳しい店員さんもいらっしゃいましたので、なかなかいいところを選べたかなと思っています。
文具店で購入する方法
文具店で購入する方法は、殆ど普通の文具を選ぶのと変わりません。
違うのは、
- 基本(廉価のもの以外は)ショーウィンドー越し
- 試筆自由の外に出してあるセットでなくても、店員さんに言えば試筆もできることがある
- お値段
ぐらいでしょうか。
ただし、5000円以上の万年筆を買うのが初めてで、コーナー担当の店員さんがいる場合は、その店員さんに
- 初心者である旨
- 初めて高めの万年筆を買う旨
- 予算
- 予算内でお勧めのものや、その手入れなどにいる知識を教えてほしい旨
を伝えて、教えてもらうことをお勧めします。
また、インクまでこだわるなら、初回は店員さんに聞けるものは聞いておくか、気になったインクを検索して情報を仕入れておくといいと思います。
Twitterで「#万年筆」タグをつけて情報を募集するのもありでしょう。
万年筆のほかにも買うと良いもの
紙
紙は大事です。書き味の良い紙に筆を滑らせるのは、結構な楽しみです。
原稿用紙なども種類があり、選ぶのは結構楽しいです。
にじみ具合やインクメーカーとの相性も色々あり、
個人的にお勧めの紙(原稿用紙も含む)は、
- LITERO(リテロ)シリーズ(万年筆をもてなすノートという形で、ノートだったり用紙だったりで販売されています)
- 満寿屋(ますや)の原稿用紙
- 飾り原稿用紙(あたぼう)
などです。
Amazonでは基本的に通常価格より高めになっている印象。
ただこれも置いている店など色々ありますので、よい紙についてもある程度は店員さんに尋ねてみてもいいかと存じます。
いい紙は基本的にお値段も張りますが、サイズが小さい、手軽な値段のものもあります。
満寿屋のミニ原稿用紙や、リテロのミニサイズ(店は限られますが、たまに切り離されて売っています)がこれに該当します。
また、飾り原稿用紙のミニサイズもおすすめ。上記2つよりもやや薄手ですが、白く綺麗な原稿用紙ですし、多分売っている店もそれなりにあるはずです。
いきなり大きいのを買うのが敬遠されるときは、そちらを選んでみてはいかがでしょうか。
インク
万年筆を使うとき、中身のカートリッジやコンバータに入れるインクを買えることで、様々な色のインクを楽しめます。
同じような色でもメーカーや色の名前によって微妙に違いまして、非常に奥深い世界です。
Twitterでは「#インク沼」というハッシュタグすらあり、様々なインクを集め、使って楽しむことが多いです。
黒インクは、同じ色に見せかけて、色々と差があるのですが、このあたりの好みは本当に人それぞれなので割愛します。このあたりが参考になるのではないかしら。
お勧めの色インクとしては、まず代表的なものとして、「四季彩」や「色彩雫」があげられます。
美しい色のインクがシリーズとなってそろえられており、様々な色の違いを楽しむことができます。
なお、通常万年筆を買うとカートリッジ(勿論インクが入っているもの)がついてくるので、インクを買わなくても一応使えます。
しかしインクの楽しみは万年筆の楽しみの一つですので、気が向きましたら購入を検討されることをお勧めします。
コンバータ
インクを入れ替えて楽しむときに、頼りになるのがコンバータです。
メーカによって対応するコンバータは違いますが、他社のインクを入れてみたいときなど、様々にインクを入れ替える予定のある場合は、買っておいたほうが断然便利です。
日本の三大メーカーについては、こちらにも一部纏めています。
ただし、顔料インク等、一部のインクについては必ずしもコンバータで別メーカーの万年筆に入れたり、インクの入れ替えをすることが可能とは限りませんので、顔料インクなど、特殊そうなインクを使う場合はご注意ください。
万年筆担当の店員さんがいるかの判別方法(自己流故確実とはいえません)
万年筆担当で、色々教えてくれたり勧めてくれる店員さんがいるか判別するための、(店が混雑していないとき限定)私流の方法も書いておきます。
- ディスプレイの前に立ち、商品を見る
- 好きな商品がある場合、その前でじっとする
- 「試筆しますか」と話しかけてくる店員さんがいたら、だいたい万年筆に力が入っている店で、(声をかけた人がわからないことがあっても聞ける範囲で)担当の店員さんがいる
以上です。
ただ、先にも書いたとおり、これは店が混雑していないとき限定です。店員さんがディスプレイの前で品物を眺めている客のフォローに回る余裕がある程度の状況でなければ、店員さんの業務を邪魔してしまいますから、ご注意ください。
なお、ディスプレイされている以外のインクの情報がほしいときは、(これも混雑しておらず、店員さんに対応の余裕があるときですが)興味がある系統のインク前でインクや見本を眺めていれば、店員さんに色々教えてもらえることもあります。
あくまで運がよければですが、ディスプレイ前のインクの情報ももらえるかもしれません。ただ、これはタイミングがよければなので、いつもそう、とは限らないことを心にとどめて置いてくださればと思います。
その他コメントなど
今回は万年筆購入への第一歩について纏めてみました。
それなりに交通の便の良いところに住んでいれば、結構気軽に文具屋さんは見つかると思います。
そしてあなたも深遠なる万年筆とインクと紙の沼に、いやなんでもないです。
この記事を読んで、気が向かれた方は、ぜひ最寄の万年筆を置いている文具屋さんに足を運んでみていただけたらと思います。